安物ではなく高コスパを選ぶ美学
DIYにおいて、材料費を抑えることは恥ずかしいことではありません。
むしろ、限られた予算内で最大のクオリティを引き出すことは、デザイナーにとって最もクリエイティブな工程の一つです。
しかし、単に一番安い木材を選んでしまうと、反りがひどかったり、仕上がりがチープになったりと、結果的に満足度を下げることになります。
重要なのは、安い素材を、高く見せること。
見えないコスト(無駄)を徹底的に削ぐことです。
今回は、これまでの記事で紹介したSPF材選びやレンタル工具活用以外で、プロも意識している材料費圧縮のテクニックを紹介します。
ホームセンターの端材コーナーは宝の山
ホームセンターの木材売り場の片隅に、カットされた木材の切れ端が無造作に置かれている端材(はざい)コーナーを見たことがありますか?
ここをスルーしてはいけません。アイデアと激安素材の宝庫です。
- 圧倒的な価格設定
正規の木材なら数千円するような高級木材(ウォールナットやオークなど)の切れ端が、数十円〜数百円で手に入ることがあります。
小さな棚や、デスク上の小物を作るなら、正規サイズを買う必要はありません。 - 掘り出し物の宝庫
時には、厚みのある無垢板や、変わった木目の板が見つかります。
何を作るか決めてから買うのではなく、素材にインスピレーションを受けて何を作るか決めるという、逆転の発想でDIYを楽しむきっかけになります。
端材はサイズが不揃いですが、それをパズルのように組み合わせて天板にする寄木のようなデザインにすれば、タダ同然のコストでアート作品のような家具が作れます。
サブロク板を使い倒す構造用合板の魅力
広い面積が必要な場合、無垢材を並べるとコストが跳ね上がります。
そこで活用したいのが、構造用合板です。
通常、壁の下地などに使われる建築資材ですが、これをあえて仕上げ材として使います。
サイズは通称サブロク(3尺×6尺=約910mm×1820mm)と呼ばれる畳一畳分の大判サイズ。
価格は相場によりますが、1枚2000円〜3000円程度と、面積あたりの単価は最強クラスです。
- サンディングで化ける
そのままだとガサガサしていますが、サンダーで徹底的に研磨し、オイルを塗ると、独特の積層断面と大胆な木目が浮き出て、非常にクールなインダストリアル家具になります。 - 歩留まり(ぶどまり)が良い
大きな一枚板なので、設計次第でデスクの天板、棚板、箱の部材などを一度に切り出せます。
無駄なく使い切るパズルを考えるのも、コスト削減の醍醐味です。
デザインを規格サイズに合わせる
材料費が高くなる最大の原因は、半端な残りが出ることです。
例えば、幅1000mmの棚を作ろうとすると、1820mmの板から切り出した場合、820mmもの半端な残りが生じます。
これを防ぐために、デザイナーは材料の規格サイズに合わせて設計図を引くことを徹底します。
- 910mmの倍数を意識する
日本の木材の多くは910mm(3尺)1820mm(6尺)という尺貫法ベースの長さで売られています。
棚の幅を910mm、あるいはその半分の455mmに設定すれば、カットの手間も減り、捨てる部分がほぼゼロになります。 - 欲しいサイズより取れるサイズ
あと5cm広くしたいというこだわりが、新しい木材をもう一本買う原因になります。
その5cmに数千円の価値があるか?と自問し、既存の材料から取れるサイズで妥協するのではなく最適化する。これが賢い設計です。
消耗品は箱買いが正義
最後に、地味ですが確実なコストダウン術です。
ビスやサンドペーパーなどの消耗品を、少量のパックで買っていませんか?
ホームセンターでよく見る20本入り200円の小袋と、500本入り1000円の箱では、一本あたりの単価が数倍違います。
- コーススレッド(木工用ビス)は箱で買う
DIYを続けるなら、最もよく使う長さ(30mm〜65mm程度)のビスは、迷わず箱買いしてください。
腐るものではありませんし、ビスが足りないから作業中断という最大のストレスからも解放されます。 - 塗料やオイルも少し多めを
塗料も小瓶より大缶の方が圧倒的に割安です。
定番の色を決めたら、大きめのサイズを買っておくのが長期的にはお得です。
材料費を抑えるということは、単にケチることではありません。
素材の特性を知り、無駄を出さない設計をし、賢く調達する。
この一連のプロセス自体が、あなたのDIYスキルを一段上のレベルへと引き上げてくれるはずです。