安全装備こそ最もクリエイティブな投資である
DIYを始める際、多くの人が工具のスペックにはこだわりますが、自分の身体を守る装備は後回しにしがちです。
趣味レベルだし、大袈裟な装備は恥ずかしいという心理も働くのかもしれません。
しかし、プロの現場において、安全装備は義務ではなく、パフォーマンスを最大化するための機能的なインターフェースです。
指先の感覚を鈍らせず、視界を確保し、呼吸を守る。
これらが保証されて初めて、私たちは創作に没頭できます。
今回は、過剰な装備ではなく、本当に必要なものだけを厳選した安全装備のミニマリズムについて提案します。
グリップ手袋を選ぶ理由
まず、真っ先にアップデートしていただきたいのが手袋です。
作業用手袋=白い軍手というイメージが強いですが、木工DIY、特に電動工具を使うシーンにおいて、軍手は推奨されません。
それどころか、非常に危険なアイテムになり得ます。
- 巻き込み事故のリスク
軍手の粗い網目は、ドリルや丸ノコに引っかかりやすく、指ごと巻き込まれる大事故につながる恐れがあります。 - グリップ力の欠如
木材を持つ際、軍手は滑りやすく、余計な握力を使うため疲労の原因になります。
私が推奨するのは、ホームセンターで数百円で売られている、薄手の背抜き手袋、グリップ手袋です。
手のひら側にはゴムやウレタンのコーティングがあり、甲側は通気性の良い生地になっています。
素手に近いフィット感があるため、細かいビスをつまむ動作もスムーズに行えますし、何よりグリップ力が強いため、重い材料も楽に運べます。
滑らないということは、それだけで安全性が飛躍的に向上するのです。
アイウェアで視界を守る
次に重要なのが目の保護です。
木材をカットした際の木屑や、ビスを打った際の金属片が目に飛んでくる確率は、想像以上に高いものです。
一度でも目に異物が入れば、その日の作業はそこで終了しますし、最悪の場合、視力に関わる事故になります。
最近では、スポーツサングラスのようなスタイリッシュなデザインの保護メガネが多く販売されています。
選ぶ際のポイントは以下の2点です。
- クリアレンズであること
室内の作業でも手元が暗くならないよう、透明度の高いものを選びます。 - フィット感
隙間から粉塵が入らないよう、顔のカーブに合ったものを選びます。
数百円のもので構いません。
工具箱の、一番取り出しやすい場所に常備しておいてください。
防塵マスクの役割
最後に、今回ご用意いただいたイラストを見ながら呼吸の保護について解説しましょう。
DIY、特にサンダーがけや切断作業では、目に見えないほど細かい粉塵が舞います。
これを吸い込み続けることは、肺にとって大きな負担です。
しかし、マスクなら何でも良いわけではありません。
画像には8種類のマスクが描かれていますが、DIYの粉塵対策として機能するのはごく一部です。
不織布マスク・ウレタンマスク
主に飛沫防止(エチケット)のためのもので、顔との隙間が多く、微細な粉塵の侵入を防ぐ能力はほとんどありません。作業用としては不十分です。
防塵マスク
DIYをする際は、このマスクを選ぶのが正解です。
カップ型で口元に空間を確保しつつ、縁が顔に密着するように作られています。
DS2などの規格をクリアしたフィルター性能を持ち、微細な木粉を物理的にシャットアウトします。
ちなみに、防毒マスクまでは必要ありません。ただし塗装時は別です。
サンディングをするときは、いつもの不織布マスクではなく、画像右下のような防塵マスクに付け替える。
この使い分けこそが、健康を守りながら長く趣味を楽しむための、賢い大人のマナーです。