玄関の広さは「床」ではなく「壁」で稼ぐ
家の顔とも言われる玄関ですが、多くの賃貸住宅では十分な広さが確保されていません。
靴があふれ、鍵やマスクの置き場に困り、出かけるたびにストレスを感じる。
この問題を解決するために、床に新たな棚を置こうとするのは逆効果です。
ただでさえ狭い土間や廊下がさらに狭くなり、動線を塞いでしまうからです。
そこで私が提案したい最適解は、2×4材を使った薄型壁面収納です。
壁に傷をつけずに柱を立て、そこを垂直方向の収納として活用する。
今回は、特に玄関という限られたスペースに特化した、圧迫感ゼロの制作手順を解説します。
設計の肝は奥行きにあり
玄関用の壁面収納において、最も重要なのは薄さです。
通常の棚のように奥行きを20cm〜30cm取ってしまうと、通路としての快適性が損なわれます。
そこで採用するのが、柱は2×4材、棚板は1×4材という黄金の組み合わせです。
- 柱(2×4材) 厚さ38mm × 幅89mm
- 棚板(1×4材) 厚さ19mm × 幅89mm
この設計なら、全体の奥行きは壁からわずか約10cmに収まります。
文庫本や鍵、スリムなスニーカーを置くのに必要十分なサイズでありながら、身体がぶつかることのない絶妙な距離感です。
収納力よりも空間の余白を優先する。
これが狭い玄関を美しく見せるロジックです。
準備するもの:ホームセンターで揃う部材リスト
まずは必要な材料を揃えましょう。
設置場所の天井の高さを正確に測ることが全ての始まりです。
- 2×4材(柱用) × 2本
天井高から、使用するアジャスター指定の長さ(例:ラブリコなら-95mm)を引いた寸法でカットしたもの。 - 1×4材(棚板用) × 必要枚数
設置したい幅に合わせた長さのもの。玄関なら幅600mm〜800mm程度が一般的です。 - 2×4アジャスター × 2セット
ラブリコやディアウォールなど。色味を抑えたマットな質感のものを選ぶと、安っぽくなりません。 - L字棚受け金具 × 棚板枚数分(左右セット)
1×4材の幅(89mm)に収まるサイズのものを。 - 電動ドライバー&ビス
制作手順:効率と精度を高める3ステップ
STEP 1:塗装で空間に馴染ませる
木材の風合いそのままでも良いですが、玄関の壁紙(多くは白)に合わせて柱を白に塗装することをお勧めします。
柱が壁と同化することで、棚板とそこに置かれたモノだけが浮いているように見え、視覚的なノイズが極限まで減ります。
塗料は匂いの少ない水性ペンキや、木目を活かすワトコオイル(ホワイト)が良いでしょう。
STEP 2:金具は寝かせて取り付ける
柱を立ててから棚板をつけるのは、水平を取るのが難しく非効率です。
必ず床に柱を並べて寝かせた状態で、棚受け金具を取り付けてください。
- 2本の柱を並べ、棚板をつけたい位置に墨付け(印)をする。
- その印に合わせて、L字金具をビス止めする。
- 一度仮組みをして、棚板がハマるか確認する。
この地上の作業で精度の9割が決まります。
STEP 3:設置とカスタマイズ
アジャスターを装着し、壁際に柱を立てます。
垂直を確認しながらしっかりと突っ張らせたら、あらかじめつけた金具に棚板を乗せて固定します。
ここからが玄関仕様へのカスタマイズです。
- 鍵の定位置を作る
目線の高さの棚板の小口(側面)や柱に、小さな真鍮フックを取り付けます。帰宅してすぐに鍵を掛ける動作がスムーズになります。 - スリッパを浮かす
足元の低い位置にアイアンバーを取り付ければ、スリッパを差し込んで収納できます。床掃除が劇的に楽になります。 - 身だしなみチェック
柱の側面にスリムな鏡を取り付けたり、マスクケースを置くスペースを確保したりすることで、外出前の動線がこのラック一つで完結します。
玄関が変われば、オンとオフが切り替わる
わずか10cmの奥行きですが、そこに生まれる機能性は計り知れません。
散らかりがちな小物が整然と並び、床には何も置かれていない状態。
そんな玄関に出迎えられると、仕事の疲れも少し軽くなるはずです。
壁という余白をハックして、あなただけの機能的なコックピットを作り上げてください。